リアルに味わう「購入体験」
ネットショッピングが便利に充実していくに従って、リアル店舗の役割どころをハッキリとアピールできない店は必要とされなくなってしまう。実際の目で認識して空間を楽しむショッピングは、バーチャルが身近にならないうちは充分に楽しめるショッピング体験だ。店の外から眺めただけで興味が湧いてくるような仕掛けやデザイン。売り場の世界観を尊重したような素材を使ったゾーニングには、専門性や新たな発見を期待させる効果がある。価格以上の選択肢をアピールさるにはそれなりの舞台装置が必要となるのだ。ゾーニングの品質はそのまま展開商品のグレードと直結する肝となりえる。
マツモトキヨシ池袋PART2店
スケルトン仕様で立寄りハードルを下げた
フロア中央部にトレンド発信ブースの「マツキヨゴー」をレイアウト。ガラス張りで囲った壁面は外からの視認性を上げることによって中が見えない不安を払拭させ入りやすくした。
メンズ専用コーナーはステンレス素材の柱にネオン管と自転車のDP。別世界を作り出した。
ブランドのアーティストコラボレーション。壁面いっぱいに描かれたイラストは迫力満点!
スノーピーク(ホームズ新山下店)
家の中を再現、新発想の「野遊び」を提案
キャンプ用品をより身近な商品として感じてもらうために、家の中を再現した。アウトドアとイメージが近いウッド素材でまとめて統一感を作って親和性をアピールした。
左右の壁面に大型商品を並べて小物類は幅広通路の中央にテーブルで展開、手にしやすい環境を提供。
キャンプ用品と関連書籍を一緒に陳列して相乗効果を期待、
情報発信していく。
東急プラザ渋谷(AKOMEYA TOKYO)
世界観を損なわない空間分離テクニック
ストア内の物販ゾーンと飲食エリアを「日本のお米」コンセプトの世界観を崩すことなく暖簾で仕切った。それぞれのお客同志の視線が交わらないよう暖簾を目隠しとなる長さに設計している。
赤福のポップアップも瓦屋根に暖簾を組み合わせて日本の老舗感を演出させた。(ビームスジャパン)
老舗台所用品は石の天然素材を活かいした什器とシンプルな店内デザインで商品本来の魅力をアピール。(日本橋木屋)
今月のヒト言
今回取り上げたゾーニングとはお店の中に作り込まれた異空間を感じさせるエリアとした。コーナー展開よりも大きな演出装置によって世界観を作ることが基本となる。そんな好例をピックアップしてみた。ポイントはお客の好奇心を刺激することだ。人はいつもささやかな「小さな物語」を探しているものである。小さな街の大きなニュースは安心感と説得力があるもの。例えば短期間の旅行に出かけた時に街の中で目に見えるものを評価することは可能だが街独特の匂いや音、道や壁の質感を知るにはさらに長い接触の期間を要する。商品本来の良さを知ってもらうには永らく足を留めストレスなく滞在できるゾーニングでなければならない。
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