販売革新8月号に寄稿しました。
テーマで学ぶVMD『お客を引きつける売り場』 果物売場ボリューム陳列 編
圧倒的なボリューム感で勝負!
今回取り上げたフルーツのボリューム陳列は圧倒的な量感をお客に訴えるだけでなく、鮮度感が増して美味しいそうに見えなければならない。いつも同じ商品を同じように売っていては常態化され鮮度感は出てこないだろう。鮮度をアピールするにはボリューム陳列でも売り方を変えていく必要がある。その日のうちに売り切りたければ「10個入りの袋詰め」や「5個入り袋詰め」といったセット売りが好ましいし、商品の色を引き立たせるには「黒トレイ盛り」、「グラストレイ盛り」、「緑のザル盛り」など有効だ。他にも「舟皿盛り」、「各トレイ盛りのラップがけ」と売り方自体にも変化を加えてお客を飽きさせず、鮮度感を演出していきたい。
●イオンスタイル幕張ベイパーク店
単品大量陳列で買う気にさせる
彩り鮮やかで季節感のある商品を大量陳列する。お客へのインパクトと手に取りやすさから購入ハードルを下げる効果も期待できる。中央部の輪切り見本で完熟度を示す。
「バナナ畑」とユニークなPOPの下に単品大量陳列した(マルエツプチ浜松1丁目店)
手に取りやすい位置に大量陳列(イオンスタイル美園三丁目店)
●ベイシア上尾平塚店
大量陳列+袋詰めで割安感をアピール
いよかん、はっさく等、色鮮やかな柑橘類を単品大量陳列で迫力を作る。それぞれを袋詰め販売する事によって、たくさんまとめて売られている心理的な割安感を狙った。
フィリピン産ブランドバナナの専用コーナーは黒い陳列台によって、さらにバナナの色が引き立つ効果がある。
陳列台最上段はかごにバナナを並べて見栄え良い演出を心掛けた。(IY千住食品館)
● 無印良品銀座店
コンパクトな器にして量感陳列を表現
大量陳列は基本的に商品個数と表現スペースが必要となる。売場サイズや取扱量に制約がある場合に有効な表現方法として参考にしたい陳列テクニックだ。
今月のヒト言
お客の行動観察をするにあたって、社会学や心理学など多くの学問分野からの知見を活用していきたい。幅広い知見を備えておくことは、お客の行動の要因について理解を深めることが出来るから。しかし、その一方で誤った知識、根拠の乏しい俗説を用いて解釈してしまうと誤った結論になってしまう事もあるので注意しなければいけない。例えば血液型性格分析などはその最たる例かも知れず、現場の「勘と経験」は重要であるものの慎重に検討すべきだ。特定の条件下でたまたまうまくいったことを自分の中で法則化して、ナレッジとして活用してしまうのは危険で対象が人間である以上「絶対的な正解」はなく、常に仮設・試験・結果・検証を短いタームで行う必要があるだろう。
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